『真夏の方程式』(東野圭吾 /文藝春秋) :感想

 「ガリレオ」シリーズ最新作の本作。
 海底資源開発会社と環境保護団体がせめぎ合う美しい海の街で、事件は起こります。


 泊まっていた民宿の宿泊客が変死したことで、ガリレオ先生こと湯川学は事件に関わっていくことになります。
 

 事件の謎は、シリーズお馴染みの科学トリックです。


 現場に残された痕跡から湯川が感じる疑問。

 一方、東京では、地元県警の捜査から独立して草薙刑事と内海刑事が動き、関係者の過去を洗います。

 草薙と内海を光らせるためなのでしょうが、ちょっと地元県警がおマヌケさんに描かれてしまっているのが不憫でした(笑)。



 一人の人生が歪められないように、事件を見つめる湯川。
 
 そして、辿り着いた真実。

 読みどころは、やはりヒューマンドラマな部分でしょうか。



 殺人犯の身代わりになるのも厭わない「献身」。

 それが存在することを知っている湯川だからこそ、わかる想い。



 湯川は、暴くのではなく、ただ、真実を示します。

 逃げ道を与えるのではなく、事実を考える時間と選択肢を与えるのが湯川らしさですね。



 哀しき真実の中に、少しだけ存在する暖かさと光。

 未来にも重たいものを感じさせる読後感でしたが、残された人物たちの、未来へ向けたしっかりした強さを感じられたので、暗いイメージはなかったですね。



 また、恭平少年に勉強を教えてあげたり、実験を見せている湯川は、偏屈でありますが、結構カワイかったです。

 子供嫌いな湯川が子供と接しているのは、そのシーンを想像するだけで結構楽しいですね。

 恭平と湯川が少しずつ心を通じ合わせていく感じが、とても優しい雰囲気を作っています。


 2人で飛ばしたペットボトルロケット。

 最後まで読んだ後でそのシーンを思い出したら、何となくホロリとしました。

 夏休みが終わった後で、楽しかったできごとを思い出す感覚に似ているでしょうか。

 

 しかし湯川センセは偏屈ですよねえ。

 まあでも、実はかなり優しいというギャップが大きな魅力なので、このまま偏屈さを崩さないでほしいですね(笑)。


 タイトルどおり、夏休みに読むともっと雰囲気が出る作品だと思います。



○ リンク : 「ガリレオ」シリーズ

『探偵ガリレオ』(文春文庫)
http://kemochime.at.webry.info/201012/article_8.html

『予知夢』(文春文庫)
http://kemochime.at.webry.info/201101/article_20.html

『容疑者Xの献身』(文春文庫)
http://kemochime.at.webry.info/201011/article_13.html

『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
http://kemochime.at.webry.info/201012/article_2.html

『聖女の救済』(文藝春秋)
http://kemochime.at.webry.info/201012/article_11.html

『虚像の道化師 ガリレオ7』(文藝春秋)
http://kemochime.at.webry.info/201211/article_27.html

『禁断の魔術 ガリレオ8』 (文藝春秋)
http://kemochime.at.webry.info/201212/article_18.html







真夏の方程式
文藝春秋
2011-06-06
東野 圭吾


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この記事へのコメント

2011年10月18日 22:11
こんばんは!!

ガリレオシリーズも増えましたね(笑)
まだ、2作目までしか読んでいないので
道程は長いですけれど読みたいと思います。
2011年10月18日 22:50
びぶさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

増えました(笑)。
まだ加賀恭一郎シリーズで読んでいないのがありますので、これからそちらを楽しみたいと思います。
2011年10月25日 20:50
湯川先生、ユニークですよね(^o^)
このシリーズは原作を読んだことがないので、私の脳内では湯川先生はしっかり福山さんになっちゃってます(笑)
2011年10月25日 22:52
キーブーさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

私はテレビシリーズを観たことがないのですが、湯川さんは福山さんに変換されています(笑)。

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