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zoom RSS 『「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー』 (高橋 秀実 /新潮社) :感想

<<   作成日時 : 2012/12/22 19:55   >>

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「野球をしようとするな!」
「ドサクサ!ドサクサ!!!」


 普通では考えられないような怒声が監督から飛ぶ、開成学園硬式野球部。


 東大合格者数日本一という進学校として名前を聞いたことがある方もいると思いますが、夏の甲子園予選で激戦の東東京ブロックでベスト16(2005年、200年)まで行ったことがあるんです。



 2012年の夏は4回戦止まりでしたが、万年1回戦負けというイメージは誤りと言えるでしょう。


 ただし、大勝か大敗のどちらかに偏ってるみたいなんです。


 コールド勝ちかコールド負けという極端なゲーム展開になるのは秘密(?)あるようです。




 とにかくガンガン思いっ切り振れという攻撃特化型野球。


 バントなんてしない。とにかく振って、打って、走る。


 ピッチャーは相手に失礼がないようにストライクさえ入ればオーケー!


 思いっ切り投げて、思いっ切り振る!




監督の叱咤が飛びます。



「俺たちは小賢しい野球、ちょっと上手いとかそんな野球はしない。自分たちのやりたいことを仕掛けて、そのやり方に相手を引っ張り込んでやっつける。俺たちは失敗するかもしれない。勝つこともあれば負けることもあるけど、勝つという可能性を高めるんだ!これなら国士舘や帝京にも通用するんだよ!!」


 開成の目標は常に強豪校撃破。ベスト8やベスト16じゃなくて強豪校撃破。強豪校を撃破していけばその先に甲子園もある。

 目指すのは優勝だからどうせ強豪校に当たるなら1回戦で当たりたい。

 とにかく強いところとやりたいというのが信条。



 僅差の接戦をモノにすると、監督から怒号が飛びます。


「これじゃ強いチームみたいじゃないか!」

 ……え(笑)?



「何がなんでもヒットじゃなくて、何が何でも振るぞ!だろ。大体、打つのは球じゃない。物体なんだよ」

 ……え?

 物体(笑)?



上記のような解釈が難しいコメントもある一方・・・・・・監督の言葉には、感じ入るものも多かったです。


「思いっきり振って球を遠くに飛ばす。それが一番楽しいはずなんです。生徒たちはグラウンドで本能的に大胆にやっていいのに、それを押し殺しているのを見ると、僕は本能的に我慢できない。たとえミスしてもワーッと元気よくやっていれば、怒れませんよ。のびやかに自由に暴れまくってほしい。野球は『俺が俺が』でいいんです。」



「生徒たちには『自分が主役と思って欲しいんです。大人になってからの勝負は大胆にはできません。だからこそ今なんです。」



野球には教育的意義はないと考えている監督。偉大なるムダと考えているようで。


「社会人なになればムダなことなんてできません。今こそムダなことがいっぱいできる時期なんです。」


「ムダだからこそ思い切り勝ち負けにこだわれるんです。」


勝負は勝負。勝負のための野球。遠慮はいらない。とにかく思い切り振る。




生徒たちのコメントもとにかくユニーク。

以下、著者とのやり取りをいくつか抜粋します。


「僕は球を投げるのは得意なんですが、捕るのが下手なんです。」

  ----苦手なんですね。

「いや、苦手じゃなくて下手なんです。」

  ----どういうこと?

「苦手と下手は違うんです。苦手は自分でそう思っているということで、下手は客観的に見てそうだということ。僕の場合は苦手ではないけど下手なんです。」


 ・・・・・・野球ではなく、国語の問題か?と思った、という著者の感想はまさにそのとおり(笑)。



もう一人の子のコメント。


「大事なのは反省しないってことだと思うんです。」

 -----反省しない?

「反省してもしなくても、僕たちは下手だからエラーは出るんです。反省したりエラーしちゃいけないなんて思うと、かえってエラーする。エラーしてもいい。エラーしても打ちゃいいやと思うとエラーしない。といってもエラーしますけどね。下手だから。」


 ・・・・結局エラーするんだ(笑)。でも真剣でなんかかわいいですわ。



他の子達のインタビューもユニークでとても面白いです。


そんな彼らも、やっぱり高校生。

とにかく野球が好きで、打つのが大好き、試合に出れるだけで嬉しい、楽しい。そして、勝つ。


それは伝わります。じゃないと続けられないですよね。


さてさて、以下、本書を読んだ人のコメントです。


まずは、30代開成出身者のコメント


 「確かに、野球部はグラウンドより廊下や階段や隙間のスペースで筋トレしてるのをよく見た。」

 「そもそもグラウンドで野球してたっけ?筋トレばっかりしてたような」

 「こんなに理屈っぽいことを言うやついたっけ。今の子はそうなのかな」

 「でもこういうやつらはいそう。野球部にいてもおかしくない」

 「顧問の先生すげえwwwwでも、こういうのが違和感ないのも開成。基本的にあそこは何でもありだから」


……と本書には開成らしさが溢れているようです。


次に、もう1人の開成出身者のコメント


 「傍で見ている分にはいいが、部下にいたらキレそう」

……なるほど(笑)。


次に、50代、非出身者のコメント

 「部活とはこうあるべき」

 「青木監督の言うとおり」

 「これが教育」

 「久々の良書」

……何か、心の琴線に触れまくったようです。大絶賛(笑)。



 人それぞれ感じ方はいろいろありますが、部活に限らず、物事の取り組み方の一つのあり方として、参考になる部分も多かったですね。


 ある意味珍妙で難解な生徒たちの発言には3回吹き出してしまいました。

 もちろん、筆者は生徒たちをあげつらうつもりは全くなく、尊敬し、真剣に応援しているんだと思います。



 可能性の可能性を求めて。

 かけ算しちゃうととても低い確率になってしまいますが、著者の言うように、可能性が生まれるように取り組んでいくのは教育でもありますよね。



 良書かどうかはさておき、一読して損はない(かもしれない)一冊でした。






「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー
新潮社
高橋 秀実


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
うまく表現出来ないのですが・・

小さな輪を一つ作る
その周りに、もう少しだけ小さい輪を作る
更にもうひとつ・・
ということを繰り返して
最終的に大きな輪に達するタイプ

小さな輪の能力しかないけれど
いきなり大きな輪に飛びつかせると
めちゃくちゃに暴れ振り回して
大きな輪に限りなく近い輪を作ってしまうタイプ

わたくしも音楽指導を生業としておりますが
大きく上記ふたつのタイプがいるように思います。

あれ?
前提になっているレベルが違うか・・(笑)
ベラ
2012/12/22 22:21
テレビで紹介されているのを見たことがあります。
圧倒的に練習時間が短いので、守備練習よりも点がとれる攻撃を重視して練習してるとのこと。
面白いな、と思ってました。
ヌサドゥア
2012/12/23 16:22
ベラさん、こんばんは。
コメントいただきましてありがとうございます。

なるほど・・・いろいろなタイプに合わせた指導もあるということですよねえ。
kemochime
2012/12/24 00:29
ヌサドゥアさん、こんばんは。
コメントいただきましてありがとうございます。

守備は中途半端に練習してもコストパフォーマンスがよくないようなんです。10点取られるので、15点取る野球をするしかないようでして。なかなかこの割り切りはすごいと思いました。
kemochime
2012/12/24 00:31

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