『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信 /新潮文庫) :感想

 ダークな味わいがある5篇の短編集です。 全体的に、薄暗~い雰囲気が流れています。


 全編で、共通しているのは、上流階級のお嬢様や使用人がメインキャラクターであること、そして「バベルの会」の存在でしょうか。

 バベルの会は、一言で言うと読書サークルなのですが、その雰囲気は耽美的で退廃的で。

 登場は少ないのですか、各家の特異な状況設定を外から補強するような役割を果たしているように思います。



 『身内に不幸がありまして』と『北の館の罪人』は、最後の一言にオチが籠められている作品です。
 (『玉野五十鈴』もそうかもしれませんが、オチって感じではないように思います)


 静かで上品なトーンで語られていくストーリーに放たれる最後の一撃。

 フィニッシングストローク系の作品は、そこで外したら全てがパーですから、結構勇気と自信がないと書けないと思うのですよね。

 これは上手い、と思いました。 


 両作品とも、伏線をきれいに繋げていると思います。

 オチもはっきり理解できますし。

 最近、行間を読み込んだり、深淵を読み解いていく系の本ばかり読んでいたので、この分かりやすさがいい(笑)!



 『玉野五十鈴の誉れ』は、『Story Seller』(新潮社ストーリーセラー編集部 /新潮文庫)(http://kemochime.at.webry.info/201012/article_33.html)にも収録されていましたが、改めて読むとやはりズシリと来ました。

 こちらも伏線を効かしているなあと思いましたね。

 何度読んでも好きですね、これ。重た暗いんですけどね(笑)。


 

 広告の煽りとかだと、「米澤穂信が新境地を拓いた!」とか書いてありそうですが(まあ、さすがにそこまでは書いていないか(笑))、「小市民」シリーズや「古典部」シリーズのような青春ミステリとは全く違った米澤穂信の世界が楽しめると思います。



 
 

○ 収録作品 
 
『身内に不幸がありまして』
『北の館の罪人』
『山荘秘聞』
『玉野五十鈴の誉れ』
『儚い羊たちの晩餐』
 


 



儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)
新潮社
2011-06-26
米澤 穂信


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