『水底フェスタ』(辻村深月 /文藝春秋) :感想

 帯には、「辻村美月が描く一生に一度の恋。」と書いてあったのですが、私は勝手にサスペンスと思い込んでしまっていて、本書は湖とかに沈められた連続殺人事件の真相解明ストーリーだと思っていました。

 しかしいつまで経ってもみんな生きてる・・・。


 もう一回、帯を見る。

 「祝祭の夜には誰も死んではならない」

 あれ?ホントに誰も死んでないぞ?!


 
 ミステリではなくて純文学系でした。何でミステリだと思いこんでいたんだろう・・・・・・。

 なんかドロっとしてるなあと思いつつも、思った以上に引き込まれたのでサクサク読み進めてしまいました。


 フェスタの夜に誰かが死ぬ死亡フラグかと思ったんだけどなあ・・・・・・って読み進めると…後半からストーリーが加速! 
 
 油断してました・・・・・・(笑)。




 閉鎖的で閉塞したムラ社会。

 妙な息苦しさの支配から抜け出し、外の世界に出たくて仕方ない高校2年生の広海。


 そこで出会った、都会から戻ってきたキレイなお姉さん・由貴美。

 惹かれ、離れられなくなってしまっています。
 

 由貴美が村に戻ってきた理由、それは復讐。


 私は村を「売り」に来た-----

 

 由貴美に溺れつつも、得体の知れなさと不安感に揺れ動く広海。

 自分の村を売ることにも躊躇してしまいます。当然ですけどね。

 しかし、事態はそんな広海を待っていてはくれないのでした・・・・・・。


 一つの事件から、大きなうねりが生まれて、広海と、由貴美を飲み込んでいきます。


 由貴美が何を考えているのかは徐々に明らかになっていきますが、その憎悪の根源が何なのか、よくわからない感じがずっと続いていきました。

 広海と同じく、私ももどかしくなってきます・・・・・・。


 そんな気だるげなもどかしげな息苦しげな前半ですが、後半は一転して急展開で進みます。


 先が気になってしまう、読ませる力がありました。
 


 徐々に明らかにされていく登場人物の素顔。

 二面性・・・コワイデス。

 どちらが真実の顔なのか……両方なのでしょうね。人間ってそんなもんですし。


 あああああ、しかしこれまた、ドロドロしてて重苦しい・・・・・・。



 広海の心情はわかりやすく書かれていたと思いますが、最後まで、由貴美はよくわからなかったです。

 ミステリアス感を出しているということになるんだと思いますが・・・・・・由貴美自身にとってもなんだかよくわからなくなっていたのかもしれないですね。


  
 終盤のシーンの透明感を際立たせるためのドロドロ感なのでしょうが、読後は清清しくなれる・・・ってこともなく、ズッシリと、どよーんと腹に残るようなものがありました。

 この後、広海はどうやって生きていくのかなあ・・・・・・人間ってのは自分の生まれ育ったところからはなかなか離れなれないものなのですから、村で生きていくのでしょうか。


 故郷、というものを考えさせられましたねえ。故郷とは人にとってどういう存在なのか。

 私自身、自分の故郷も思い起こさせました。まあ、車で1時間くらいなんで、あまり遠くないんですけどね(笑)。

 何だかんだ言って、いい思い出でも悪い思い出でも故郷って心の中のそれなりのスペースを占めるものですから、こういうテーマは心に訴えかけやすいのかもしれませんね。


 爽やかな恋物語というより、ズーンと重たい感じでしたが、オモシロかったです。
 



水底フェスタ
文藝春秋
辻村 深月


Amazonアソシエイト by 水底フェスタ の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 52

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

2011年11月03日 11:31
憎悪から何も生まれませんよね
自分の都合にいい様に解釈すれば、、、
2011年11月03日 22:47
バクさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりです・・・・・・でも憎悪がなくなることはないようで・・・人のココロというのは本当に難しいものだと思います。
2012年04月20日 18:37
ちょっと変わったテイストでしたね。
個人的にはとても引き込まれて、面白かったです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
2012年04月21日 11:04
藍色さん、こんにちは。
コメントいただきましてありがとうございます。
ご訪問ありがとうございます。

何か不思議な感覚がもぞもぞにじみ出てくる本でしたねえ。
この本が出る前に発売された『オーダーメイド殺人倶楽部』とは、テイストがちょっと似ているかなあとも思いました。

この記事へのトラックバック

  • 「水底フェスタ」辻村深月

    Excerpt: 村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。辻村深月が描く一.... Weblog: 粋な提案 racked: 2012-04-20 18:29