『ばんば憑き』(宮部みゆき /角川書店) :感想

 面白かったです、これ。
 人情溢れる、そしてホロリと切ない江戸市井のあやかし不思議草紙。
 全6篇が収められています。



 「坊主の壺」は、コロリ(コレラ)の流行に苦しむ町民のために力を尽くす田屋の主人のもとで働く女中、おつぎの視点で語られます。

 主人が所有する掛け軸に浮かび上がる坊主の絵。

 見えるのは、おつぎと主人だけ。

 これは何を意味するのか。


 善行を尽くしているのは間違いないのに、明るいイイ話にならず、どんよりと暗く重たい影を引きずってしまうのは、やはり掛け軸の絵の秘密のせいなのでしょうねえ。

 ちょっとだけ背中が涼しくなる感じが私ごのみでした。
 




 博打には勝てるようになるが、死ぬまで取り憑く「博打眼」。

 代々で、博打眼に取り憑かれてきた近江屋の娘、お美代の視点で物語が語られます。

 博打眼にまつわる近江屋の逸話。

 不思議フシギな助力も得て、一門総出でこの化け物に挑みます。


 はてさて見事化け物を祓うことができるのか。

 ストレートな、物の怪ストーリーでした。

 博打眼の外見の描写がおどろおどろしくて……挿し絵が無くて良かったです(笑)。

 こういう物の怪がいてもおかしくないと思えてしまうのが江戸の世の魅力の一つですね。






 表題作、「ばんば憑き」

 湯治の帰りに若旦那夫婦が出会った老婆が語る、昔語り。

 思いも度が過ぎれば負の想念となり、人を壊してしまう。

 情念が深ければ深いほど、現実離れしたものが憑いてしまうもの。
 

 強すぎる想いが招いてしまった結末とは。

 化け物は存在するのか、人が生み出した幻想なのか。


 とても哀しい物語でした。




 その他の3篇もイイ感じでした。



 「お文の影」は、儚く哀しい少女の影の物語。

 しんみりとした気持ちがじわっと広がりました。



 「討債鬼」は、親子の情愛を感じる話でした。

 ユーモラスなやり取りもあって、面白かったです。



 「野槌の墓」は、タイトルから野菊の墓を思い出させましたが、全く関係ないです(笑)。

 妖怪モノ?です。






 雨がシトシト降る夜に、こういうアヤカシ系の物語を読むと雰囲気でますが・・・・・これだけ暑いと雰囲気も壊れてしまいます(笑)。

 しかし……6月ってこんなに真夏日になりましたっけ?

 真夏が思いやられますねえ。





ばんば憑き
角川書店(角川グループパブリッシング)
宮部 みゆき


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この記事へのコメント

2011年06月28日 00:10
博打は本当にやめられない時期ありました。金額は少ない金額ですが、毎週、競馬、競輪、競艇、全部覚えてしまいました。(^_^;
今は競馬のダービーと有馬の場外だけになりましたが、あの博打で「今日は来る」って感覚は今思うと、すこし怖い感じがします。
2011年06月29日 23:25
たかじいさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
競輪と競艇もですか!!
公営は一通り経験されているのですね~。
「今日は来る」「今日こそは」「明日こそは!」
って、破滅パターンですよね(笑)。
私はトウカイテイオーが引退した頃に、競馬からは足が遠のきました。学生の頃、トウカイテイオーに会いに北海道にいったのが懐かしいです。
も、もちろん、馬券は買ったことないですよ。

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