『たそがれ長屋』(池波正太郎、山本一力、山本周五郎他 /新潮文庫) :感想

 本作は、「たそがれ」というタイトルどおり、老境に達した、あるいは老境に差し掛かった人物を主人公に据えた時代小説アンソロジーであり、池波正太郎氏、山本一力氏、北原亞以子氏、山本周五郎氏、藤沢周平氏という、大御所も大御所な方々の作品が集められています。



 池波正太郎氏の『疼痛二百両』は、江戸留守居役の苦労が描かれています。

 お取り潰しから藩を守るために奔走し、心を砕く日々。

 胃が痛くてしょうがないですよね(笑)。

 さてさて、見事に藩を守りきることはできるのか・・・・・・?!

 真剣なんだけど、コミカルに感じてしまう作品でした。



 山本一力氏の『いっぽん桜』は、店の主人の代替わりの際に、納得のいかないまま引退させられることになった頭取番頭の思いを描いています。

 いろいろグジグジしているシーンが長いだけに・・・・・・わだかまりがなくなり、新しい生活に踏み出すラストシーンはとても明るくて、晴れ晴れとすっきりとしていて、すごく好きですね。


 
 北原亞以子氏の『ともだち』は、身寄りがなくて寂し老境をく暮らすおすまと、彼女にできた友達との話です。

 せっかく気が合いそうな同年代の女性に出会えたのに、見栄を張ったり意地を張ったり嫉妬したりと複雑な女心。

 まあ、本当の「ともだち」になるまでは、いろいろありますよね~。

 暗がりの中に一筋の明るい光が差し込んだように感じたエンドでした。


 

 山本周五郎氏の『あとのない仮名』は、まだまだ老境には程遠い、三十代の源次のお話。

 ただ、家族にも捨てられ、仕事もしておらず、状況的にはもう先が見えない感じの日々。

 誤解を受け続けてきたことを周りに嘆きますが・・・・・・あれ?読み進めるほどに同情できなくなる(笑)。

 
 スパっとしていながらにして余韻を引く話の終わり方、また、タイトルの付け方も秀逸だなあと思いましたねえ。



 
 
 活気溢れる市井を描いた作品も好きなのですが、老いを感じながら穏やかに生きる心情を綴った作品もかなり好きになってきたのですよね~。
 
 私もだんだんと年を重ねてきということなのかなあと思っていたのですが、今日の昼に、お前はまだまだ青二才のクセに生意気言うなと大先輩に怒られました(笑)。



○ 収録作品

池波正太郎  『疼痛二百両』
山本一力   『いっぽん桜』
北原亞以子  『ともだち』 
山本周五郎  『あとのない仮名』
藤沢周平   『静かな木』 (http://kemochime.at.webry.info/201105/article_8.html




たそがれ長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)
新潮社
池波 正太郎


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この記事へのコメント

2011年05月21日 21:30
これも面白そうですね。。。近くに書店があるから、、、行きたくなります(^_^) さすがですね。すっかり読みたい本が増えてしまいました。鬼兵やもみの木が好きな人間にとってはたまりませんね。
2011年05月22日 00:16
たかじいさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

確か『樅の木は残った』は大河ドラマにもなったのですよね。
そういえば、昔はよく大河ドラマ見てましたねえ。
『樅の木』の頃はまだ生まれていませんでしたが、小さい頃は良く見たものです。

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