『村上春樹 雑文集』(村上春樹 / 新潮社) :感想

 本作は、村上春樹氏のエッセイとか書評とかジャズ論とか序文や解説とか受賞あいさつとか、全69篇が収められています。



 軽妙でユーモラスな文も多い中で……ひときわ目を引いたのは、エルサレム賞受賞のあいさつです。


 ガザ地区の激しい戦闘がとどまるところを知らない騒乱のエルサレムで、あそこまで踏み込んでスピーチするのはスゴい。
 あれはスゴいです。


 
「もしここに硬い壁があり、そこにぶつかって割れる卵があるとしたら、私は常に卵の側に立ちます。」


 授賞式には出ないほうがいいのではないかと勧めてくれる人が多かったそうですが、あえて行った。

 当時のエルサレムですからね、命がけです。

 呼ばれたからってホイホイ行ける所ではないですよね・・・。

 そして、このスピーチ。

 カッコいいわ。


「そう、どれほど壁が正しく、卵が間違っていたとしても、それでもなお私は卵の側に立ちます。」


「正しい正しくないは、ほかの誰かが決定することです。あるいは時間や歴史が決定することです。」


「もし小説家がいかなる理由があれ、壁の側に立って作品を書いたとしたら、いったいその作家にどれほどの値打ちがあるでしょう?」


 卵のメタファー・・・深いですわ。



 その他の受賞スピーチも、ヒネているというかヒネっているというか。

 「こんなに素晴らしい賞を・・・」とか「これを励みに・・・」とか「私なんかが・・・」なーんてことはこれっぽっちも言いません(笑)。

 若い頃から現在までのスピーチを並べてみるのもおもしろいものですね。

 性格や内容の変遷は・・・・・・ないかな(笑)。首尾一貫しているように思います。



 『アンダーグラウンド』に関するお話や、ジャズや音楽についてのお話も興味深かったです。

 ジャズ喫茶を経営していただけあって、ジャズ愛が溢れてますな~。



 また、翻訳は村上氏のもう一つの「仕事」かと思ったら、「趣味」だそうで。

 かっこつけすぎじゃないの~。うん、かっこいいわ。

 文学作品の翻訳を趣味・・・・・・にしたいなあ、私も。



 作品の最後を飾るのは、村上氏と親交の深い安西水丸氏と和田誠氏の対談です。

 村上氏を理解するのにはこの対談が一番いいかも(笑)。



 ファンもアンチも同じくらい数多くいるであろう村上氏。

 私はどちらでもない(というか作品をほとんど読んでいない)のですが、本作は、村上氏がどういう人物なのか何となくわかったような気分になれる本だと思いますよ~。



村上春樹 雑文集
新潮社
村上 春樹


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この記事へのコメント

2011年05月16日 00:25
ジャズは好きです。ラジオでは必ず聞いてしまいます。土曜日のAVANTIは欠かさず、関東にいるころは鳥山さんのJAZZ番組は聞いてました。曲目はあんまり分からないのですが、寝る前には最適ですよね。関西でもJAZZ番組聞いてますね(^_^)
2011年05月16日 07:18
おはようございます

やはりノーベル賞候補だけのことはありますね
頑なさと柔軟さとを合わせ持つのが
小説家かもしれませんね
2011年05月16日 08:49
こんにちは♪
エルサレムでのスピーチ。まさに村上春樹です。
当時の新聞に掲載されたスピーチを何度も何度も
読みました。息子にも見せたところ、卵の話に
感銘を受けたようで凄い勇気のある人だと
言っていましたね~
好き嫌いの分かれる作家ですが私は好きですね~
2011年05月16日 22:15
村上春樹さんの「ノルウェイの森」つい最近読みました。やはりすばらしい才能のある作家だと思いました。
エルサレムのスピーチも凄いの一言。
2011年05月16日 23:12
『村上春樹 雑文集』は、最最近本ですね。
先日、「村上春樹全小説ガイドブック」を借りてきましたが、田中啓文「笑酔亭梅寿謎解噺」シリーズを読んでいて手が回らず、図書館に督促されていい加減に読んで返しましたが、残念なことをしました。
村上春樹文学、不思議な魅力ですよね(^-^) 
2011年05月17日 19:12
村上春樹さんは、作品も人柄も大好きです(*^_^*)
奥さまがうらやましいくらい(笑)
2011年05月17日 23:37
たかじいさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ジャズの真髄とかは全くわかっていないのですが、ミーハーなので、ニューオーリンズに行ったときは場末のジャズバーで通ぶって聞いていました(笑)。
日本人が結構いました(笑)。

たかじいさんはジャズを堪能されたり、いろいろな芸術への造詣が深いですよね~。いつもながらカッコイイです。
2011年05月17日 23:39
無門さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

おふざけじゃないのというくらいめちゃくちゃ軟らかい作品も結構ある中で、こういう頑固なまでも硬派なスピーチがあったりしますからねえ。
おっしゃるとおり、作家としての信念と言うか頑固さがありますよね。そういうのがないと作家を続けること
ができないのかもしれませんが。
2011年05月17日 23:40
ミモザさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

勇気ありすぎですよ~。
イスラエルで賞をもらって、イスラエルの批判しているんですから(笑)。
命がけですわ、ほんと。信念なのでしょうねえ。
2011年05月17日 23:42
トムさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ヒネクレ者の私はまだ『ノルウェイの森』を読んでいないのですよね(笑)。売れすぎて高名すぎているので控えていました。
ちょっとスピーチに感銘したので村上モードに突入しようかなあと迷っています。
でも積み本を読んでからかなあ。
2011年05月17日 23:47
メロンパンさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

田中氏の本は、『蹴りたい田中』しか読んだことはありませんが、この人も独特すぎますよね(笑)。
『蹴りたい背中』は全然関係ないし(笑)。
2011年05月17日 23:48
キーブーさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
でも、奥様としては気が気ではなくなるのではないかというくらい、村上氏はもててもててしょうがないらしいですよ(笑)。

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